下駄箱で上靴からローファーへと履き替えた私は、一人校門へ向かって歩き出す。
視線は地面を歩む自身の靴の先へ。
とぼとぼ歩みを進める私。何だろうか、毎日毎日うざいほどあの男が傍にいたから。いないということが酷く寂しく感じる。
校門を出て、数歩。
「真ー子ちゃん。」
後方から聞こえる声は、間違いなく私の名を呼んでいて。その声には聞き覚えがありすぎた。
固まった身体は、足の爪先から冷えていき。゙昔のような暖かざを、今の彼を見て感じられるだろうか。
ゆっくり、ゆっくりと。首を回して振り返った私の視線は。
痩身をダークグレーの着崩されたスーツを着る、綺麗顔なその人と絡まる。
「希、月…さん?」
どうして、貴方がここにいるんですか?


