その目、その声。




と。

頭上から降ってきた声色に、私の動きはぴたりと止まった。


「無視、しないでよ。」



声の主は勿論千駿であるのだけど。その声音はつまらないとでも言いたげなそれで。

見上げた千駿の顔は、声の通り私を見下ろす瞳は怒っているというよりは拗ねていて。なんだ、可愛いところもあるんじゃないか。




なんて。

思ったのはほんの一瞬。


千駿は、武居くんと私の隣に座る彼の名を柔和な笑みを浮かべながら呼ぶと。



「ブスといたら、ブスがうつるから早く帰りなよ。」

「……。」


私と武居くんは、暫し沈黙。と言うよりも絶句に近い。



千駿の顔には、相変わらず微笑が張り付いていて。しかもそれは完璧と言えるもの。

世の中の不公平を改めて感じさせられた瞬間である。