横目で見上げた千駿は、まるで私が返事をすることなど確信していたようにニヤリと微笑。
……あ。
(ヤッチマッタ。)
「明日さ「嫌。」
「駅前の「嫌。」
「…真子「嫌。」
千駿が声を発する度に「嫌」の一点張りをしている私の両頬を、ガシッと挟むように千駿は掴み。
「聞けよ。」
にっこり、背後に悪魔でも見えそうなほど綺麗に笑ってそう一言。
いや、実際見える。
嫌でも唇はたこみたいに突き出す形になってるし、てか一番は頬に食い込む指が滅茶苦茶イタイ。
激しく首を縦に振れば、千駿はまた微笑んで離してくれた。私は、両頬に手を添えてさすりながら緩く千駿を睨みつける。
と。
「何、見惚れてんの?」
自惚れるな。
ないない、それは断じてない。私は溜め息を吐き出しその顔を見上げる。


