その目、その声。




千駿は、大嫌いだしムカつく変態馬鹿だけど。あくまで社長夫妻の長男、お坊ちゃんなわけで。


そんな男が本気で怒れば、私なんか海の藻屑となって消されてしまうだろう。



「真子…、」

「は、はい…?」

「痛いんだよねえ。」

「でしょうね…。」

「本気で殴った?」

「あ、いや、まあ…ははは…。」


ゆらり、屈んでしまっていた千駿は立ち上がり。私の顔を見下ろし、今まで見たことのない極上とも言える笑顔を浮かべて見せ。




「やってくれるじゃん?」

ぼそり、呟いた。






――――その後は。

もう悪魔になってしまった千駿との大激戦。玄関で押し倒されそうになったことから始まり、家の中を逃げ回りラリアットかまされそうになり。


千駿の目が据わっていて、謝らないと犯されると感じた私は屈辱的にも禁断の土下座を解放した。