どこか、浮き世離れしたようなあの人を取り巻く空間が苦手なんだ。
そんなことを考えてうとうととしていれば、時刻はもう18時を回っていて。チャイム音が部屋に鳴り響いた。
「(あ、多分…。)」
来たな。
玄関まで向かう足が少しだけ足早になっている私。それには気付かぬフリを決め込んで、ドアの鍵を開錠。
開いたドアの向こう側にいた男は、今度こそ私の予想通りの人物。
「っわ、吃驚。」
「……ち、はや、」
「ちゃんとイイコにしてた?」
餓鬼扱いかよ。
チャイムを鳴らして直ぐ私が出たからか、千駿は驚き気味に苦笑を浮かべ。だが、台詞はこんな感じである。
「………お疲れ。」
「ん、ありがと。」
「……それじゃあ…、」


