――――昔から変わらないそれに触れたのは、いつぶりだろうか。
頭鷲掴みにされたりすることはあったけど、こうやっで壊れ物゙を扱うような優しい手は懐かしい。
…私、この温かい手だけは、昔から好きだ。
それは、私の頬を緩やかなカーブを描くように撫でると髪を絡めて自身の口元へ持って行った。
髪へ、キス。
どきり。どきり。
心臓が今まで聞いたことないような音を上げながら高鳴る。
一々、過剰に反応してしまう自分に恥ずかしくなったけどどうしようもない。
千駿は、視線だけを上目で私に向けてくる。
「真子、付き合って。」
……どうすればいいんだろう。
普段なら、ハッキリ断れるはずなのに。この手に触れられこの捕食者まがいな目に捕まったら、私は嘘をつけなくなる。


