「土下座しないなら、行こうか。」
「いや、ソレおかしいでしょ。」
「何が?逃げようとするから悪いんじゃん。」
自分の考えが中心的な顔をしてくるから、苛立ってるのに。
すぐに言い返すことが出来ずに黙ってしまったことで。千駿は勝ちを悟ったように、また、笑い突如私の腕を引いた。
吃驚して発せられた声は「ぎゃっ」と、何とも可愛げのないもの。
「ちょ、千駿!」
「あー靴。早く履いてよ。」
「は、はっ…!?」
「早くして。」
気怠げに私を見下ろす千駿。ここで抵抗すればいいのに、言われた通り上靴からローファーへ大人しく履き替える自分に溜め息が出た。
私が履き替えたことを確認した千駿は、ぐんぐん私の腕を引いて歩き始める。
自分の足が長いことを自覚して欲しい。
足がもつれそうになり、何か言ってやろうとしたがどうせ状況は変わらないから止めた。


