その目、その声。





また、希月、と俺の名を呼ぶ声に視線を向ければ。

ニッとはにかむ顔が見え、頭の上に優しく乗せられた手がくしゃくしゃと髪を乱す。



「もう、風が冷たくなってきたね。」

「…。」

「シャツ1枚で、そんな所にいたら風邪ひくよ。中に入っておいで、一緒に遊ぼう。」



縁側に腰掛けていた俺の横にしゃがみ、そう言ってまた笑った彼女は。

藍野さんの家の一人娘、遊可さん。後の真子の母親である。




「…平気です。」

「意地っ張りな子ー。鳥肌たってるくせに、素直じゃないなあ。」

「寒くないです。」

「嘘だー。てか私が寒いから、早く行くよ希月!」



言うが早いか、遊可さんは俺の手首を掴むと強引に引っ張り上げてそのままテレビがある部屋へと連れて行かれた。

それから、格闘物やアドベンチャー物。様々なTVゲームを対戦させられた。



遊可さんは、ある日突然。自分の弟だと言われて連れてこられた俺をとても可愛がってくれた。


本物の、姉弟だて感じるほどだった。