じわりじわりと、浸食するように私を犯す感情ば恐怖゙だった。
希月さんにこんな感情を抱いたのは初めてで、どう対応すればいいのか分からない。
「昨日俺ね、養子離縁の話をして来たんだ。」
「養子、離縁…?」
「そ。だからもう、俺と真子は、他人なんだよ。」
「ッ…!」
こてんと小首を傾げて見せた希月さんは、何が愉しいのか口元から笑みを消すことをしない。
悪魔は、希月さんを食い尽くしてしまった。
「でもね真子、それでもこれからもお前を守っていくのは俺なんだ。姉さんとも約束したからね。俺も独り、真子も独り、お父さんのことはもう忘れな。あの人はお前がいくら思ってももう帰ってこないよ。だって真子は捨てられたんだから。嗚呼、でも心配しなくてもいいし悲しむ必要なんて微塵もないからね。真子には俺がいる。お前にもう家族なんてものはいないけど、俺がいるから。」
「きづ、…き、づき、希月お兄ちゃ…!」
「でも、俺にもお前だけなんだってこと忘れちゃ駄目だよ?だからホラ、約束しようよ、ね?」


