真子の母親の葬儀には、まあ当然だが真子の父親もいた。

一度横を通り過ぎた時、甘ったるい香水の匂いがふわりと香りぶん殴ってやろうかと思った。



それから、すぐ。




真子の父親は、女と共に姿を消した。

真子は、アパートで一人暮らしを始めた。


そして、真子の保護者は希月さんになった。








ただ、その関係に違和感を感じ始めたのは高校に上がって直ぐの頃。


真子が、希月お兄ちゃんと呼んでいた名を「希月さん」と呼び始めた。

あれだけ好いていた希月さんにどこか怯えていた。









俺が、変えたいと、願う過去とは。




ただ、その違和感を気のせいだと思い込んで。真子を救ってやれなかった、愚かな傍観者として見てるだけだったあの頃の馬鹿な俺だ。



今になって思う。



゙あの日゙に、気付けていれば良かったんだと。