そんな私の考えを読んだように、山瀬先輩は再び私と視線を絡ませてゆるく微笑んだ。
自然と、眉間に寄るしわ。
……今、やっと、気付いた。
あの笑み、あの支配者のような笑みは
―――゙彼゙と、同じ。
「改めて、自己紹介しようかな?」
「……。」
「山瀬大智。藍野希月《アイノキヅキ》の…嗚呼、間違えたね。」
本名は、゙山瀬希月゙の
――――――弟だよ。
…どうして、今まで気付かなかったんだろうか。
゙藍野゙は、私の亡き母の旧姓。
゙山瀬゙は、希月さんの本当の名字だと聞いていたのに。
希月さんは、母がまだ中学生の時に゙藍野の家゙に養子としてやって来た。
その事実を知ったのは、母が亡くなる1ヶ月ほど前だった。


