「相変わらずイケメンだねー。」
「そんな事ないですよ。」
「謙遜しなくてもいいのに。あ、波ちゃんだよね?久しぶりー。」
「あ、…どうも。」
希月さんに久しく会った波は、少なくともこの不穏な空気を感じ取ったらしく。困ったように眉を寄せながらも頭を下げていた。
一方、千駿の顔はみるみる不機嫌に歪んでいき今にも希月さんの端正な顔に奴の拳が飛んできそうで恐ろしい。
と。
そこに更なる波乱を招く人物がまた1人――――――――…
「あれ?なになに、修羅場だったりするの?」
「……山瀬、先輩。」
この人は、゙嫌な場゙ばかりを読んだようにやってくる。
こちらに怠惰な足取りでゆったりと歩いてくる山瀬先輩の口元は酷く愉しげに持ち上がっており、その笑みが苛立ちと焦りの要因となる。
嗚呼、神様のサディスト具合にもほとほと嫌気がさす。


