その目、その声。




意地悪く口元をゆるませながら、私を舐めるように見る波の思慮深さ。


クラス中の視線も私に向けられてるし、廊下を通る他のクラスの生徒も私を見ている。



と。


―――パシャリ


カメラのシャッターを切る音が教室内に響き、私は弾けるように顔を上げ音のした方を見た。



「澄江、その角度私にも頂戴ね。」

「りょーかい。看板に有効活用して。」

「りょーかい。」

「おい悪魔コンビ今すぐ消せ。」



私に携帯を向けお互いの画面を見せ合いながら、写真を撮り続ける千駿と波。

写真部からあらかじめ借りてきていたらしい、一眼レフのカメラ片手にしたクラス委員の祐美ちゃんも「笑ってー」なんて言ってるし。




うん、駄目だもう。
耐えられるわけがない。


「…私、当日休む。」


そう呟いた私に波を含めた女子達のギラギラとした視線がぶっささる。



「休むなんて、許さないわよ?」


クラス全員が、悪魔に見える。