私の驚愕の顔に気付いた桃花ちゃんは、慌てて言の葉を紡いできた。
「い、今の話忘れてください…!」
「え。どうしたの?」
「ほんと、気にしないでください。」
私、先生にチェックいれてきて貰いますねと微笑んだ彼女はそそくさと保健室を出て行ってしまった。
何だったんだろうか。
首を傾げ、桃花ちゃんが出て行ったドアを見つめる私の横で波は「ありゃりゃー真子ファイト」なんて言っているから。
私はさらに困惑の瞳をドアと波の間で行ったり来たりさせていた。
――――委員の仕事が終わり、教室へと戻る私のセーターのポケットで黒色のそれが小刻みに振動し始めた。
階段の下、死角へと身を滑り込ませた私は、二つ折りのそれを開く。
ディスプレイには、"メール1件受信"の文字。
センタキーを意味もなく連打した私。


