隣から、いちいち口出ししてくる幼なじみに苛立ちながらも。無視を決め込みクラスの人達へと指示を送り続ける。


本来なら、武居くんと2人で仕切り役を受け持つはずなのに。その武居くんは生徒会の出し物の準備に忙しいらしく、こちらまで手が回らないらしい。



はあ、と溜め息を吐き出したところで。私の肩に片肘をのせてくる千駿を横目で睨む。



「真子のクラスは何すんだっけ?」

「…見て分かんないわけ。」

「あー、フリフリのメイドさんがいるメイド喫茶ね。」

「……。」

「真子も着んだろ?」

「屈辱よ。」



さらに深く重たくなった溜め息を吐く私の鼓膜に響く、くすくすと愉しげに笑う音。

クラスの大半が最早ノリで提案した、メイド喫茶。まさか本当にこれになるとは思いもしなかった。


誰か反対してくれればいいものを、私以外は皆賛成で。逃げることも出来ず、拒否権を与えて貰えることもなく。

私は裏方ではなく、メイド組へと入れられた。