もし、逃げ場を、助けを求めてもいいのなら。


千駿お願い、



この鳥籠についた頑丈な鍵を壊して。





「…じゃあ、あんまりサボっちゃ駄目だよー。」


山瀬先輩はそう言い残すと、踵を返し私とも千駿とも視線を合わすことなくゲームセンターを出て行った。

目的が分からないだけに、怖い。




くるり、振り返った千駿が床に片膝をつき下から心配そうに瞳を揺らし覗いてきた。

相変わらず、ムカつくくらい綺麗な顔である。



「真子、大丈夫?」

「…うん。平気だから、もう帰ろう。」

「……ねえ、真子。」

「ん?」



掠れた小さな声で私を呼ぶ千駿に、ゆるく微笑んで小首を傾げてみせれば。

真っ直ぐ、私を射抜くように力強くも芯が揺らいだ双眼に私が映り込んだ。







「希月さんは、真子にとってナニ?」


―――千駿それは、今の私には答えが見つからないよ。