体の震えが止まらない。小刻みなそれは、収まることはなく両手の中にある携帯をキツく握りしめる。



ねえ、千駿……。

お願いだから、お願いだから―――――――…







「(もう、私のことは放っておいて…。)」



そんな私の心の声に対してのように。

千駿は低く静かに「黙れ」と凄むような、だがハッキリと刺々しい言葉を吐き出した。



ビクリ、肩を上げた私がゆったりと顔を上げて2人の姿を視界に映せば。


山瀬先輩の視線と絡まり、無表情で見下ろされる。流れる不穏な空気に心臓がキリキリと締め上げられるような痛みを持つ。




「お前なんかが、真子を傷付けるとか嘗めんじゃねーぞ。」

「でも、俺なんかが真子ちゃんと希月の関係を知ってる人間だったりね。」

「黙れっつってんだろ。籠の鳥?勝手に真子を籠なんてもんに閉じ込めようとしないでくんない。」

「……君は、やっぱり希月には勝てない。」




君じゃ真子ちゃんを、希月を、救えない。

そう言い視線を逸らした山瀬先輩の顔が曇ったのを、私は見逃さなかった。