「(何この体力消耗する機械…。)」
近くにあったベンチに腰掛け、溜め息を吐き出す私はいつかストレスで禿げてしまうんじゃないだろうか。
と。
ブレザーのポケットに入っていた携帯が小さく振動して、取り出すと同時目の前に影が重なる。
ゆっくりと顔ごと視線を持ち上げて行けば、無表情の千駿が私を見下ろしていた。
「初プリ、ってやつ?」
「…何で千駿と…」
「殴んぞ。」
「ごめんなさい。」
光栄に思えとか何とか言いながら手渡されたそれは、先程の落書きが施された――――――――――…
「プリクラなんて、いつぶりだろ。」
「榛原と?」
「うん。でも、多分数ヶ月前だよ。」
そっか、と呟いて微笑んだ千駿は私の隣に腰掛け一緒に私の手にあるプリクラを覗き込んできた。
瞬間、ふわりと香った控えめな香水のそれに胸の奥が甘い痺れを持って疼いた。


