頬が赤いのを隠すように眉根を寄せながら睨み上げた私を見下ろす千駿は、意地悪く笑っている。
何、と呟いても別に、と返ってきて再び視線だけの会話になってしまう。
「…じゃあ。」
その意味のないやり取りにも飽きたし面倒になった私は、さっさと踵を返してその場を去ろうとした。
が。
「…ぐっ…!?」
「あーもー、本当ムカつくよね真子って。」
「ッ、はあ…!?」
いきなり首に腕を回されて、最早絞首かとさえ思わせられるような引き付け。
私は若干涙目になりながらも首を捻って千駿の顔を睨み付けた。
「何すんのよ!」
「俺無視して先に戻ろうとするなんて、何様だよブス。」
「……じゃあ、どうすればいいのよ。」
突っ込まなかったけどさ、ブスは余計だと思う。自分で言うのもあれだけど、私そんなにブスじゃなくないか?


