苛つきで震える拳をキツく握りしめ、引きつる口角は無視だが必死になって殴りかかりそうな思いを耐える。
畜生、なんだその王子様スマイルと言わんばかりの輝いたオーラは。
きもい、てかうざい。千駿はニヤニヤといやらしい馬鹿にした笑みを消すことなく私を見下ろしている。
嗚呼、あの顔面に今すぐ全力で頭突きでも何でも食らわしたい…!
「ほんと、真子は面白いよね。」
「…は?」
クックッと、喉の奥で音を殺すようにして笑う千駿を怪訝に睨み上げれば。
ス、とその瞳からさっきまでのふざけた色が消えた。それはもう、欠片も残さず。
元々、この男は端正な顔をしている。その顔が真っ直ぐと真剣な表情で私を見ていると思うと、最早反射的に頬は熱を集め始める。
ああ、もう…、コイツといたら本当に疲れる。私の人生の残りの時間を削られてしまったような気分だ。


