普通にしてるだけで、身体がガタガタと震え始めた私は最早冷静でなんて居られる筈がなかった。
ガタンと後ろに椅子が倒れたのも気にせず、私は席を立つと無我夢中で食堂から逃げ出した。
「…ちょ、真子…!?」
波の驚愕した、私を呼び止める声が聞こえたが、それを無視して走る。
ただ単純に、怖かったのだ。あの人は、危険だと私の中の全細胞が騒ぎだったのだ。
しかも、あの先輩。
波が隣に座っていた別のクラスの友達に話し掛けられたら、私に話しかけてきた。
聞かれないように、まるで、知られちゃいけないことでも話すように囁いてきた。
「っ、はあ、は…、」
切れる息を整えようと足を止めたのは、下駄箱。ふらりと自分のロッカーまで歩み寄り靴を履き替え。
ぼーっとする頭でブレザーのポケットから携帯を取り出す。


