初恋プーサン＊甘いね、唇

「…………っ!!」




流し残った涙が、指の代わりに文字の上をなぞった。


さっきの「ありがとう」の意味が、分かった気がした。




（こちらこそ、ありがとうございました）




写真に一礼した私は、本の栞代わりにして大好きな一節のあるページへ挟んだ。






『運命とは偶然の別名。世の中は何もかも偶然であり、恋に関する出会いの偶然を尊く思うあまり、人はそれを運命と言い換える。だとすれば私も、これから起きるあなたとの偶然全てを、運命と位置づけたい』






そう書かれてあるページに――。