初恋プーサン*甘いね、唇


しがない図書館勤めで、消極的で、胸だってBとCを生理や体調次第で行ったり来たりしている、微妙なサイズで。


眉毛も、都会人にあこがれて調子に乗って自己流で剃ったばっかりに、半
分消滅してしまって、すっぴんは不良のなれの果てみたいな顔になる。


そんな私が、言い寄る男に目もくれず、見こみのない片想いに時間を費やしていいのか、ときどき不安になる。


選り好みしている場合じゃないわよ、と前に美咲に言われたこともあるし。


もしも神様がいたなら、「贅沢だ」なんて言われそうだな。


「雛子さん」


「はい?」


しばらく車を走らせ、いつの間にか隣町まで抜けたあたりで、市村さんが言った。


「どこか、行きたいところってありますか?」


「行きたいところ……?」


オウム返しをしながら、私はどうしたものかと悩んでいた。


ないわけじゃないけど、例えば遊園地だったら恋人と行くから楽しいんであって、大して親しすぎるわけでもない人と行っても、ときめかない。


だからって海っていうのも、時期的にも時間的にも微妙なところだ。


真っ昼間に行っても、ムードも何もあったものじゃないし。


となれば、自分が気兼ねをせずに、時間が勝手に過ぎてくれるスポットが無難。