(勝手に好きでいさせてください) 私は、心のなかで語りかけ、大人と子供の境目から半身を出して、彼をじっと見つめていた。 ピヨピヨと鳴いて知らせるでもなく、そっと。 彼が1年後に、私の前から去りゆくまで、ずっと。 本当に、両親の『雛子』という名づけの感性には、恐れ入るヒヨコっぷりだった――。