初恋プーサン*甘いね、唇


「チャクラどうする?」


帰り道、美咲がちょっと物足りないというふうに訊ねた。


それもそのはず、土曜日は毎回のように博美さんと一緒になって私を問い詰める(美咲は主に茶化す)日だった。


酔っ払われて絡まれるならまだしも、しらふで絡んでくるものだから、たちが悪いことこの上ない。


そんなことを今さら訴えたところで、彼女たち(あくまでも主に美咲)が解放してくれるわけでも、手加減してくれるわけもないし。


なんだかんだ言って、私も同性と話をするのは嫌いじゃないからいいんだけど。


「どうしようか」


「じゃ、ふたりで行こっか?」


美咲は、お猪口を口に持ってくる仕草をしてみせた。


お酒じゃあるまいしと思って、笑いながらうなずく。


「そうね。ちょっと飲んでいこっか」


「決まり」


こうして私たちは、一杯「飲み」に、通りを左へ曲がった。