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図書館を閉めて歩道へ出ると、すっかり日が暮れていた。
緩い秋風に揺れるケヤキの葉を、騒がしい子供たちの余韻みたいに感じながら、私はひとつため息をついた。
「あのさ」
彼の言葉に、私はいちいち胸を鳴らした。
いつ言われるのだろう、いつ真実を言われるのだろうと怯えながらも、懸命に気を張って返事をする。
「……はい?」
「この街も変わってるよね、昔とずいぶん」
「あ、はい。信号がついたりコンビにができたり、そこにも何かできるみたいで、工事の音が毎日うるさくって」
心の動揺に気づかれぬよう、精一杯平常心を装って少し歩いた。
そして、図書館の横に立っている看板の前で止まり、コツコツと叩いて建物にかけられた青いビニールシートを見あげた。
「ごめん」
彼が謝った。
なんに対してかの説明もなく。
「え?」
聞こえているのに、ワザと聞き返す。


