「形が三大珍味のトリュフに似てることから名づけられたものだよ」
「あっ、なるほど」
「味はもちろんチョコだけどね」
やっと得心がいって、私はトリュフを鼻先に一度近づけ、そっと口へ運んだ。
舌先に甘めのココアパウダーが触り、すぐ後にビターのほろ苦さが追ってくる。
ハーフパイプみたいに頬の内側で転がすと、より苦味のある味わいが広がった。
「歯で割ってみて」
彼に促され、層が厚くてパリパリの殻を奥歯で割ると、今度は中からひやっとしてすごく甘いゼリーのようなチョコレートが溶け出してきた。
「うわっ、ソースみたい!」
「そう。普通のトリュフは、溶け出すほど柔らかいチョコレートではないんだけどね。これは、ぼくのオリジナルなんだ。外の厚い層が、内側のチョコを保冷する役割を担ってるから、溶け出したときにひんやりとした感じが残っているだろう?」
彼の言う通り、今まで食べたことのない味だった。
ほろ苦いかと思えばソースが甘くて、最後にはちょうどいい余韻が楽しめる。
口溶けもよく、ソースはひんやりとしているため、妙な感触がなくて逆に食べやすかった。


