「茶化さないで。年齢じゃないんだって。恋愛は」 渋面を作ると、美咲は呆れたように長嘆息をついた。 「じゃあ、その一方通行の恋は、後生大事にしまえるのね?」 「それは――」 「言わなきゃ始まらないって」 そんなことは、百も承知二百も合点だ。 ――縁司、という名前。 ――2歳違いの、28歳という年齢。 どちらも、私が記憶している人と一致するから、彼が当時ずっと後姿を追いかけていた人であることは間違いない。 だから、話せばあるいは覚えてくれているかもしれない。