初恋プーサン*甘いね、唇


シンデレラを読み終えた後、彼は「じゃあ次」と言って本棚を見回り始めた。


すっかり朗読会の世界に入りきっている子供たちは、大人しく座ったまま、彼の一挙手一投足に五感を傾けていた。


彼が動くと首を曲げて姿を追い、1冊の本を取り出して戻ってくると、首を元に戻す。


ものの見事に揃う仕草は、まるでマスゲームを見ているようだった。


それだけ、朗読会に夢中になっているのはもちろん、夢中にさせる彼自身にも夢中になっているんだと思う。


私を含めて。


「ブレーメンの音楽隊を読もう」


彼の呼びかけに、これまたみんな同時に同じ右手をあげて返事をした。


打ち合わせをしていないのにここまで揃うというのは、本当に不思議な光景で、感嘆する。


保育士の資格を持っているかのような、統率の上手さだ。


あるいは、実際に持っているのかもしれない。