「ああ、新しい先生の安葉 祐太先生?」
帰りの準備をしながら私のクラスメイト、平山 真央は言った。
「ていうかー杏。ずっと今日もさぼりっぱなしじゃん」
急に話題を変えてきた真央に何か言い返そうと口を開いたが
「まっそこが杏のいいところなんだけどねー」
自分で言って自分で答えて満足げになった。
私はクラスメイトから一目置かれていた。
高校一年生といえば受験という精神的プレッシャーから解放され、少し遊びたい盛りだ。
だが多くの進級生はモラルに憚られ、裏でしかこそこそできていない。
そんなモラル生徒とは違い、私はそんな常識を持ち合わせていない。
私は気にせず深夜徘徊や、サボりを続けている。
バカな私を、かっこいいとか尊敬しているこれまたバカがいる。
この真央も、残念ながらバカの一人だ。


