男は後頭部で手を組み、膝を落とし、目をつぶった。


寝る気か?


「クビになんじゃないの?」


確かに、男は他人事のように答えた。


「こんなことばっかしている奴だったらなぁ………でもまっ大丈夫。手は打ってある」


意味ありげに言い、再び目を閉じる。


私はいぶかしげに眼を細め、男を睨みつけた。


そっと近づいてみると


「くわぁー………」


気持ち良さそうに寝息を立てていた。


恐ろしく寝つきがいい男だ。


スーツの胸ポケットからは、タバコの箱が顔を覗かしている。


………本当に教師かこいつ。


そこで機械質なチャイムが鳴り響いた。