屋上教師



私は発言通りトイレには行かず、適当な自習室へと飛び込んだ。


「………なに、もう。私のことなんて分かんないくせして!」


学習セットである机といすをけっ飛ばし、憂さを晴らそうとするが全然足りない。


ここにあるガラスを全部割ってもこの怒りは収まらないだろう。


怒り?


違う気がする。


悲しみ、哀しみ………いや違う。


『あの時』の話がかすったから?


『あの時』の償いを勝手にしている私は、自分で決めたルールを誰にも悟らせず守ってきた。


そのひとつのルールをばれるはずもない教師の口から出てきて仰天しているだけなのかもしれない。


「………なによもう」


もう一度胸の奥のため息を漏らし、入口から一番遠い椅子に座って眠りに就いた。


気のせいか、腕に付けた目元が冷たかった気がする。