「………むかつくっ!」
1時間目を終えた私が真っ先に来たのは屋上だった。
古いフェンスを蹴り飛ばし、小さな穴をあける。
何あの教師。
うざいにもほどがある!
ぎちぎちとちぎれたフェンスのゆがんだ形に力を加え、なんともいえないアートスティックな形に仕上げる。
「おー怖い怖い」
怒れる私の赤い耳を、いま最も聞きたくないやつの声ぶっちぎりナンバーワンの安葉のだらけた声が貫いた。
「何が怖いだって!?」
振り返りざまにがしゃんっと恨みのない転落防止柵をグーの裏で殴る。
「なんであんな真似したのよ!私、絶対補習なんて行かないからね!」
「そうだとしたら連れて行くまでだな」
なんでもない、といった感じで安葉はタバコをくわえる。


