「さーわーむーらーさーん?」
「………ふぁい」
耳元で騒ぐ安葉に耐えかね、しぶしぶ私は上体を起こした。
そこには王権を持つ邪悪な王の笑みを浮かべた安葉が。
「………どの問題?」
髪をかきむしり、挑発的に顎を引く。
前を見やると3人の男女が白い元粉末チョークを人差し指と親指の間にはさみ、必死に難易度の低い問1の解を描いていた。
「あの問3の三角形ADBと三角形EDFの合同を………」
この野郎。
私に一番難しい問題をあてやがったな。
さらに目に入れる力を込め、渾身の目力で安葉をひとにらみ。
安葉は渾身のにらみをにこりと笑み一つで流す。
こいつ、そのワックスかけた髪に水ぶっかけてやろうか。


