屋上教師



授業はスムーズに行われた。


数学のできない私でもちょっとは分かるほど優しい教え方だ。


分からない生徒がいたら何度も教えた。


しかし時間は全くとらず、説明の余計な部分をうまく省き、丁寧かつその生徒がすぐ理解できるように図やグラフを使用。


茶化しを入れ授業脱線をもくろむ男子がいれば茶化しにのりつつ、授業を途切れることなく続けた。


見事、としか言えない。


肘をつきながらあくびをかみ殺す。


しかし私にとっては授業は授業。どんなに面白い教師だとしてもやはり楽しくない。


旨いのは認めるが、緑の板に白く書かれていくのは方程式のようだが、私にはそれが魔法書の中にある呪文のような字を、無意味にずらずら並べて遊んでるようにしか見えない。私だけだが。


そろそろいいか。


そうきめつけ、私は静かに机に倒れこんだ。