ブラウン・アイズ

今日がest…つまり聖なる日だからなのかも。

奇跡は2度起こった。




すぐ横の人通りの多い廊下を通らず。

深木は元来た道を引き返してきたの。



つまり、あたし以外に誰もいない廊下を!



任務を果たさなきゃ…


こっちに深木が歩いてくる。

あたしも平静を装ってそっちに歩いてく。




2人の距離…

10m・・・5m・・・・!!!


「あの、」


深木は気づかなくて、そのまま行っちゃおうとした。


「あのっ?」


深木は驚いたような顔で立ち止まった。


「はい」



なぁんかニヤけてる。チョコもらって嬉しいんだね…


「郁ちゃんが…階段の下で待ってるので、

 …行って下さい」



「誰が?」

深木が聞き返してくる。



「郁…ちゃん」



「分かった」

そう言うと、深木はそのまま行こうとした。


「あっ、今行って…!」


あたしは慌てて深木に言った。


「あ、あぁ」


深木はそう言うと、階段の方へ歩いていった。

あたしは任務を終えて、ズーンと疲労感・・・。


(はぁ・・・ハプニング続出だったけど…)


階段を降りていく深木を見ながら、あたしは思った。
(やっぱり、バレンタインって感じ!!)