(何でだろう・・・)

あたしの頭の中で、わーん…とエコーする声。




「…加害者は、ふいに魔が差したと供述しています」


ニュース番組のキャスターが言う。




深木も魔が差したのかなぁ…?


う~ん

う~~ん…


う~~~ん・・・



男の子ってたまに不思議な行動をする。



「分かんないなぁ……」



「何が」

突然隣から声がした。



「ぎゃッ」


いつのまにかお母さんが隣にいる。



「さっきからずっといたけど」


「あぁ~・・・そう……」




また回想モードに突入する。


時は、夕暮れ。



あたしがバイバイを言う。

引き止める深木の腕。


振り返ったら・・・


重なった唇。




っきゃ~~~……!


すっっっごい恥ずかしい!!!

あたしは一人、顔を赤くした。



「ちょっと、美夢?」


お母さんの声が遥か遠くで聞こえる。