ブラウン・アイズ

「うん」

郁ちゃんは、大して驚かずに平然と言った。




「あのね、土曜日に・・・」

土曜日のことから全部話そうと思った。



小2の時からずっとあたしたち2人の間に隠し事はなかった。

隠し事は苦しくて…大嫌い。




でも、郁ちゃんにさえぎられた。

「知ってる」


「え」

シッテル・?


「知ってるよ…遊園地に行ったんでしょう」




「知ってた・・・の?」






「美夢がちょっとヘンだったから、由香に聞いた」



隠し事がないっていうのには

こういうトリックがある。



「怒ってる?」




「怒ってないよ。…ちょっと悔しいけどっ」



「よかったあぁ・・・」

あたしは心からホッとした。




「でもね」

郁ちゃんが急に声の調子を変えて言う。




「うん」


「美夢は坂上さんのことが好きなんだと思うよ」




「・・・」

それに対して、あたしはYESともNO言えない。





「気付いてない?…美夢はいつも坂上さんのこと見てるよ」


魔法みたいな言葉だった。