(・・・体操待ってるときに、美夢が

坂上さんを見てなかったの、初めてだな…)


郁ちゃんはこっそりそんなことを思っていた。




「美夢ー?何か今日暗いよ~?」


前屈をしながら、言う。





「ごめん、何でもないよ…」




・・・・無理に笑顔をつくる。








「コート一周しましょう!」



コートを走る足取りも重い。






郁ちゃんは、ちょっと心配そうな顔をしてた。








と思ったら、眉をピンとあげて、唇をかんだ。


(↑何かを閃いたときの、郁ちゃんのクセ)






「ね、やっぱり坂上さんのこと好きじゃなくなった?」



「えっ」



こういう時、郁ちゃんは結構鋭かったりする。






「ふふふ、当たりでしょ?」



「まだ・・・分かんないもん!」






あたしはそう言って、何かを(…郁ちゃん?)


振り切るように、ランニングのペースをあげた。