「お嬢様!」
スーツをよろよろにして飛び込んできたのは、鷹司の執事カイトその人だった。
額に透明の球を浮かばせぜぇぜぇと犬のように息を出している。
「なっなんだこいつ………」
突然現れた執事に驚いて、男は鷹司の腰から手を離した。
「お嬢様に触れるな!」
椿野以上に目を吊り上げたカイトは問答無用といわんばかりに男の胸倉を掴んだ。
男に反論を許さずそのまま握りしめられたこぶしを荒い頬に打ち付ける。
1メートルぐらい吹っ飛んだ男は、痛そうに起き上がりでかい怒鳴った。
「なにすんだ!」
「こちらのセリフだ!私のお嬢様に触れるな!」
重要な部分をぬかしたところを付けたし、カイトは再び繰り返した。


