「ちょっと!櫻子に何をしてんのよ!」
なのに助け船を出したつもりの鷹司の一言のせいで、脳内マニュアルが吹っ飛んだ。
「あ?……おっこっちもなかなか………なに?君。俺この子と話してんだけど」
「嫌がってるじゃない!私の友達に触らないでよ!」
鷹司の頭の中には、ナンパ野郎にため口という危険なルールが敷かれているようだ。
「なんだよこの店は。客に対してため口か!」
大げさに怒鳴った男にびくっと肩を震わせた鷹司を見て、椿野もつられ
「ちょっと!
この子は関係ないでしょ!大声出さないでよ!」
荒い口調で男を睨みつけた。
「ああ?関係ないって………お友達だろお前ら。俺、傷ついちゃったな~。このこと店に報告すりゃお前クビになんじゃね?」
お世辞にも大きい、とは言えない瞳を鷹司に投げかける。


