「ねえどこ行くの?さっきから誰かを待ってるんじゃいの?あっもしかして俺~?」
オシャレなカフェよりディスコのほうが向いている服装の男が話しかけてきた。
やんわりと微笑み
「いえ。どうやらあの人、約束を忘れてたみたいで」
何気なく彼氏いる宣言をし、離れようとする。
もちろんそんなものいない。
「そう?だったら俺と遊ばない?ヒマでしょ?」
「いえ。日も暮れてますし遠慮しておきます」
「ちょっとだけだからさ!」
しつこい。
だが、ナンパから逃れる術を叩き込まれている椿野にとって、こんなもの日常茶飯事。
髪を巻くのより簡単だ。


