数分あとしてぷんぷん怒ってる椿野の前に現れたのは、湯気を立てるコーヒーと生クリームがあふれそうなショートケーキ。 運んできたのは鷹司だ。 びくびくしてそばに立っている。 「………呼んでるわよ」 さっきから鷹司を眼で合図しているカップルを顎で示し、また追い払おうとする。 「あっうん……じゃあごゆっくり………」 落ち込んだように肩を落とし、とぼとぼと元気なくポニーテールを揺らし、カップルのテーブルへと歩み寄った。 その背を、椿野のため息が追いかける。