「ごっご注文はお決まりでしょうか?」 メニューを広げながら頭の上から降ってくる声に軽く相槌する。 まだ決めていないのだが、来てくれたのでさっさと決めることにしよう。 駆けつけてくれた店員はどうやら新入りらしく、固まっている気配がした。 早く厨房へ引っ込んでもらおう、と考えつつケーキセットを指でさしながら注文する。 「このマインドコーヒーとショートケーキを」 友人の好物のショートケーキを選んだのは、別段深い理由がある、というわけではない。