「あっそ。それならいいのよ。それじゃあまたね沙良」 「ばいばーい櫻子」 椿野は豊かな黒髪を揺らしながら離れて行った。 どこかそのあたりで車でも呼ぶのだろう。 鷹司は手を振り終えた後、カイトに向き直ってこういった。 「……どうしたの?なんか嬉しそうだけど」 お嬢様がかえってきてくれてうれしいのでございます。 カイトはそう言おうとした口を閉じ、柔らかにほほ笑んだ。 「おかえりなさいませお嬢様」