古ぼけたふすまから入ってくるのが夕の光になったころ。
カイトはいったん内職をする手を止め、時計を見やった。
午後五時をちょうどさしたところだった。
「………そろそろお嬢様を迎えにいかないと」
ちょっと嬉しそうに言い、彼は立ちあがった。
クツを履き、カギを閉める。
とことこと徒歩で鷹司が通うゼフィール学園へと向かう。
カイトとしてはリムジンかベンツで迎えに行きたいところだが金がない。
鷹司は学園内では立派なお嬢様という立場になっているそうだ。
その立場に見合うほどの暮らしをさせてあげたい。
「あんの変人爺が………」
小さく悪態をつき、カイトは少し歩く歩幅を大きくした。


