「ああ竹中さん。この子は私の知り合いのカイト君っていうんですよ」
塩井さんが竹中さんとやらに説明した。
「海斗君?いい名前だねぇ」
竹中さんはほうっと見とれたように息を吐きだした。
塩井さんが笑顔でそれに対応しながら、目をカイトの意味ありげに配った。
ご婦人たちが塩井さんの説明を聞いているうちに行け、とそういうのか。
そんなのできない!
きっと塩井さんも今日のロース豚バラ半額セールに命を懸けてきたというのに!
仲間を裏切ることをちゅうちょしているカイトに、塩井さんはこっそり囁いた。
「いいのよ。私は30パーセントオフのレタスを買いに来たんですからね」
その優しさに胸を撃たれた。


