何とか引っ張り起こして数十分。
このロスタイムは痛い。
カイトは本人よりも鷹司のことを考えていた。
「さあ!ごはん食べて!歯磨いて!顔洗ってください!」
「ふぁ~い」
大きな欠伸をかましながら鷹司は台所へと消えていった。
ほっとしながら、再びカイトは鷹司の部屋へと舞い戻る。
温もりの残った布団を丸め、押し入れにしわがつかぬように入れる。
少し柔らかなにおいにときめきながらも仕事をやり遂げた彼は、また再再度居間へと足を向けた。
むぐむぐと目をつぶりながら朝食をほおばっている鷹司の横をすり抜け、櫛で解かれ散り落ちた髪の後片付け。
しばらくすると頬に米粒を付けた鷹司が食器を運んできた。
「おっ置いていてくださってもかまいませんでしたよ?」


