まずは起こさず、ダメ出しのカーテンオープン。
「今日もいい天気ですよー」
「………」
もぞもぞと身じろぎをする。
「朝ですよ!起きてくださいお嬢様!」
「………」
無言の返答。
カイトは息を吐きつつ、敷布団の真ん中のドームのてっぺんを掴む。
「………失礼!」
そしてマグロの一本釣りのごとく力を込め、上に引っ張る。
ぐいぐいっ!とそれに反発する巨大マグロ。
しばらく勝負は平行勝負となったが、寝起きのパワーでしかも女ときては執事のカイトにかなうはずもなく、最後は桜が散るようにあっけなく勝敗はついた。
奪われないように掛け布団を後ろ手に隠しつつ、枕を抱きしめ薄目を開けている鷹司にそっと話しかける。
「………朝でございます。お嬢様」


