もしお嬢様に何かあったらどうする?
一生後悔することになるかもしれない。
考えたくもない想像が頭の中を駆け巡る。
そんな恐ろしいことになったりしたら、自分は生きていける自信をなくしてしまう。自分自身の人格すらなくしてしまうのかもしれない。
それは嫌だった。何よりもあの笑顔と二度と会えないという悲劇だけは。
すっと額に伸ばしかけた手のひらを引っ込めると、由姫華が悲しそうに眉間にしわを寄せた。
「カイト………ずっと私といてくれるって言ってくれたわよね?」
懇願するように服の裾をつかむ由姫華の手は震えていた。
天秤の片方が揺らぐ。
約束と恋慕
一生消えることない誓いをしたお嬢様と
一生この思いが消えることはないお嬢様。
どっちを取るかは自分の選択で決まる。
両方、なんて虫のいい答えはない。どちらかを選び、どちらかを傷つけ、どちらかを愛さねばならない。
カイトはきつく目を閉じた。


